記事: PA++++でも中身は全然違う。ロングUVA検証はじめました

PA++++でも中身は全然違う。ロングUVA検証はじめました
スプレーゼでは、美しく健康な肌を保つために、紫外線の防御を重点テーマにしています。特に最近はロングUVAの防御に力を入れています。
どの日焼け止め処方が紫外線防止効果が高いのか?を本当に正確に実験をするには、ヒト試験(in vivo試験)をするのがベストです。
しかし、1サンプル測定するにも、30万円以上の莫大なお金がかかります。零細企業では連発して測定するのはなかなか難しいです。
そこで、ラボでの簡易測定でおおよその推測をつけることが重要となります。in vitro実験とも言います。
ただ、有名なラボ用の測定機器で、SPFアナライザーという機械があるのですが、これまた数百万円以上する高額機器でなかなか手が出せません。
なんとか、コスパよく実験装置を組めないか?
ということで、今回、ロングUVA領域の365nmの紫外線防御力について、実験環境の構築を検討しました。
かなり試行錯誤しましたが、良い感じに測定ができる環境が整ってまいりました。
測定機器を探して
測定は写真のように、上にUVランプを設置し、真ん中に日焼け止め塗布したプレートをおき、その下にUVセンサーを置いているというシンプル構造です。
ランプから出る紫外線を、日焼け止めが吸収し、吸収しきれなかった紫外線をセンサーがキャッチして数字になるというものです。
- 日焼け止めなしで100
- 日焼け止めありで3
になったとしたら、97%ブロックしているということになります。

今回は波長が365nmのロングUVA領域のUVランプを使って実験しました。
「PA++++」表示でも、製品によって防御効果に差がある
他社品も自社品も含めて、人気の日焼け止めのロングUVA実験をしたところ、「PA++++」表示の製品同士でも、実際の防御力にはかなり差があるということがわかってきました。
大体の日焼け止めが、肌への紫外線量を1/5〜1/10に抑えてくれていました。UVBに比べて防御が難しい印象でしたが、大手メーカーのロングUVA訴求品では1/30以上防いでいる結果も出たのには驚きました。
紫外線を1/5に抑えるというのは、ヒト試験で言うところのSPF5のようなイメージです。ただしUVAの場合はSPFではなく「UVA-PF」と呼びます。1/5ならUVA-PF5、1/30ならUVA-PF30というイメージです。
PA表示との対応はこのようになっています。
- PA+++:UVA-PF 8〜16
- PA++++:UVA-PF 16以上
ただし、このラボでの数字が、ヒト試験の結果と完全に相関するかどうかは、まだわかりません。ここは今後、ヒト試験との相関を見ながら検証していく必要がある部分です。
例えば、ラボで1/10のブロック率と出ても、ヒト試験では1/20と出る、ということもありえます。
実際、当社品で確認すると、今回のラボ実験(365nmの単一波長のみでのブロック率)では1/8くらいでしたが、ヒト試験(320〜400nmのUVA全域を、太陽光に近い比率で照射)では1/17程度という結果になっています。
ラボの数字からヒト試験数値を予測したい。
業界では今、「光老化リスクを低減する」という効果を訴求しようという動きがあります。そのためには、実際の使用時(薄く塗ってしまう人がいることも考慮して)に、UVA-PFが5以上相当必要だと提言されています。
毎回ヒト試験をしなくても、ラボでこれぐらいの数値が出れば、ヒト試験でこれぐらいの数値が出る、というような目安が出るようにデータを蓄積していきたいと考え、研究を進めて参ります。
測定で絶対に外せない2つのポイント
実験を進める中で、「これを知らないと測定データがまったく信用できなくなる」という注意点が2つ見えてきました。
① 塗布量
プレートへの塗布量は、1.3mg/cm²くらいの量で均一に塗ります。ISOの24443の塗布量と同じでして、これだと安定して測定できるという量だと思われます。ちなみに人の背中で試験する際は2mg/cm²です。
するとこれくらいの感じになります。

しかし一方で、超厚塗り、塗布量をモリモリで、例えば6mg/cm²くらいになると、以下のような感じになります。中央の白いクリームのところですね。

こんな厚塗りをしてしまうと、どれも日焼け止め効果が高すぎて、全てブロック率100%みたいになってしまいます。SPF無限みたいになってしまいます。
なので、塗布量は超重要です。
② 測定装置の精度
もう1つは、測定機器の精度です。
例えば、日焼け止めなしで紫外線量「100」を照射し、日焼け止めを塗ったプレートを通したら「10」になったとします。この「10」という数字、どれくらい正確なのでしょうか。
実は、この「センサーの精度の表記方法」に注意点があります。
精度表記には大きく分けて
- rdg(リーディング)精度
- FS(フルスケール)精度
の2種類があります。
リーディング精度は「測定値に対して何%」、フルスケール精度は「レンジの最大値に対して何%」という表し方です。
リーディング精度(例:±3%rdg+固定誤差)の機器なら、「10」に対する誤差は測定値の3%+わずかな固定分なので、実質5〜15くらいの範囲に収まります。
でもこれが、安価な機器に多い「フルスケール精度(例:±4%F.S.)」の機器だったらどうなるか。レンジの最大値(例えば1999)に対して常に4%の誤差が乗るので、常に±80くらいの誤差が固定でついてきます。
すると、「10」だったはずの測定値が、「10±80」になってしまいます。
10なのか90なのかで、紫外線ブロック率はまったく違うものになります。これでは、この日焼け止めが強いのか弱いのか、他の商品と比べて防御力が高いのか低いのか、判断のしようがありません。
そこで、安価なものから高精度なものまでスペックとコストを比較検討し、精度よく測定できて、かつ価格も現実的な機器にたどり着きました。
UVランプ:LL-200-LAUV(中心波長365nm、リークラボ・ジャパン)
UVセンサー:Sper Scientific 850030(Sper Scientific Ltd.)
- 測定範囲:ローレンジ 1〜3999μW/cm² / ハイレンジ 0.01〜39.99mW/cm²
- 精度:±3%rdg ±5dgt
まとめ
日焼け止めの防御力をラボで正しく測定するには、次の2点が欠かせません。
- 塗布量を1〜2mg/cm²で均一に塗ること
- 測定装置の精度に注意すること
今後も日焼け止めに関する研究・実験を行って皆様のスキンケアにお役立ていただけるように精進してまいります。
