記事: 汗かくとかゆい。赤みや肌あれ。汗アレルギーのメカニズムとは?
汗かくとかゆい。赤みや肌あれ。汗アレルギーのメカニズムとは?
夏、汗をかくと肌がかゆくなったり、赤くなったりして悩んでいませんか。よくそういう相談をいただきます。
あせもや金属アレルギーの可能性もありますが、その他にも、汗アレルギーの反応かもしれません。
アトピー性皮膚炎の人の約80パーセントは、汗をかくと痒くなることが知られています(1)。
これが汗アレルギーと言われ、原因物質は不明でしたが、近年特定されました。なお、健康な人は汗アレルギーは100%出ないそうです。
なぜアトピー肌の人だけが反応してしまうのでしょうか。
理由1:汗が皮膚の内側に漏れだしてしまう
健康な皮膚なら、汗は汗の通り道(汗管)を通ってスムーズに外へ排出されます。
しかしアトピー肌は、皮膚や汗の通り道のバリア機能が低下しているため、本来なら外へ出るはずの汗が、体表に出る前に皮膚の内側(真皮)へとジワジワ漏れ出してしまいます。
これには、細胞同士を密着させる接着剤の役割を持つタイトジャンクション(クローディン3など)の低下が関係していると考えられています(3)。
理由2:カビのタンパク質を敵とみなすIgE抗体がある
皮膚の内側に漏れ出た汗には、皮膚の常在真菌(カビの一種であるマラセチア)が分泌するタンパク質であるMGL_1304が含まれています。
アトピーの人は、このタンパク質を敵(アレルゲン)とみなして攻撃するIgE抗体を体内に持っています(1)。
皮膚の内部で、漏れ出た汗に含まれるMGL_1304とこのIgE抗体が出会うことで、かゆみや赤みを引き起こすヒスタミンが一気に放出され、激しいかゆみにつながります。
これが汗アレルギーのメカニズムです。
もし自分も汗アレルギーかもしれないと気になった方は、病院で検査を受けることができます。
検査名は「好塩基球ヒスタミン遊離試験(HRT)」です(2)。健康保険が適用され、3割負担の場合、検査料自体は500円程度のようです(※初診料や診察料などは別途かかります)。
📕参考文献
(1)アトピー患者の約80パーセントが過敏症を示す根拠、および原因物質MGL_1304の特定 Hiragun T, et al. Fungal protein MGL_1304 in sweat is an allergen for atopic dermatitis patients. The Journal of Allergy and Clinical Immunology. 2013;132(3):608–615.
(2)健常者は100パーセント陰性である根拠、および保険適用のHRT検査に関する解説 秀 道広. アトピー性皮膚炎における汗アレルギー. アレルギー. 2016;65(3):179–185.
(3)アトピー肌におけるバリア低下と、皮膚内部への汗の漏出(タイトジャンクションの低下)のメカニズム Yamaga K, Murota H, et al. Claudin-3 Loss Causes Leakage of Sweat from the Sweat Gland to Contribute to the Pathogenesis of Atopic Dermatitis. Journal of Investigative Dermatology. 2018;138(6):1279–1287.

