記事: 日焼け止めはSPF50以上じゃないとダメ?世界各国の推奨SPFと正しい選び方
日焼け止めはSPF50以上じゃないとダメ?世界各国の推奨SPFと正しい選び方
日焼け止めを選ぶとき、「SPFは50以上じゃないと不安」と思っていませんか?
売ってるものがほとんどSPF50+だから、とりあえずそれを選ぶという人も多いと思います。
実は、世界ではSPF50を推奨してるところは、ほとんどありません。
今回は日本・アメリカ・EU・オーストラリア・WHOはどういう選び方を推奨してるのか?日焼け止めのSPFの本当の選び方を解説します。
まず知っておきたいSPFとPAとは?
太陽の紫外線には主に2種類あります。
- UVB:波長が280〜320nm。肌を赤くする「日焼け(サンバーン)」の主な原因。SPF値はこのUVBへの防御効果を示します。ガラスでほとんどカットされます。
- UVA:波長は320〜400nm。シミ・シワ・皮膚の老化の主な原因。雲や窓ガラスも透過し、一年中降り注いでいます。
SPFは、UVBに対する防御力の指標です。SPF20であれば、皮膚に透過する紫外線が、無塗布と比べて1/20になるということです。20倍防御力が上がるというイメージですね。
PAは、UVAへの防御力の指標です。「PA」マーク(+〜++++)がUVA防御の目安ですが、+はUVAを無塗布に比べて2〜4倍防ぐ、++は4〜8倍、+++は、8〜16倍、++++は16倍以上防ぐという意味です。
UVBもUVAもどちらか一方だけ防ぐのでは不十分なので、UVBとUVAどちらも防げるものがおすすめ。
海外では、UVBとUVAの両方をカバーしているものはブロードスペクトラムという表記が認められています。
では、どのシーンでどのSPFを選べばいい?各国の推奨SPFの目安
各国の公的機関はSPFをどう推奨しているか?
🇯🇵 日本|環境省
環境省の資料では、散歩買い物などでSPF10、PA+程度、お買い物〜屋外の軽いスポーツでは、SPF20〜30、PA++〜+++くらいを選ぶ目安にしています。

参考:環境省、紫外線環境保健マニュアル2020より抜粋
🇺🇸 アメリカ|FDA
FDAは「SPF15以上のブロードスペクトラム日焼け止めを、曇りの日でも毎日使用することを推奨する」と公式に述べており、SPF15が皮膚がんと早期皮膚老化のリスク低減に有効な最低ラインとされています。
🇪🇺 EU|欧州委員会
欧州委員会のガイダンスでは「SPF50を超えると日焼けやUVBへの防御効果はほとんど上がらない。正しく塗布すれば、通常の肌の人がSPF15〜25で日焼けから十分に保護される」と明示されています。
また「日焼け止めを過剰に信頼してはならず、あくまでも複数ある日差し対策の一つに過ぎない」とも強調しています。
🌍 WHO
WHOはSPF30以上のブロードスペクトラム日焼け止めを推奨しており、成人の全身への塗布量として大さじ3〜4杯分を使用し、2時間ごとに塗り直すことを指示しています。
学校向けガイドラインでは、「SPF15以上のブロードスペクトラム日焼け止めで十分な保護が得られる」と記載されています。
🇦🇺 オーストラリア|Cancer Council Australia
世界一皮膚がん罹患率が高いオーストラリアでは推奨が厳しく、「UVインデックスが3以上のときはSPF50以上のブロードスペクトラムで耐水性の日焼け止めを推奨する」としています。
一方で、「SPF20でもUVBの約95%をカットし、塗らないよりはるかに良い保護効果がある」とも明記しています。
まとめると、このような感じです。
| 機関 | 推奨SPF |
|---|---|
| 環境省(日本) | SPF10〜30(お買い物〜軽いスポーツ) |
| FDA(米国) | SPF15以上 |
| 欧州委員会 | SPF15〜25で通常は十分 |
| WHO | SPF30以上 |
| Cancer Council(豪) | SPF50以上(高UV環境下) |
SPF50以上が「常に必須」という根拠は、世界の公的機関には見当たりません。大切なのはシーンによって使い分けることです。
余談:実はSPF20と50って防御力が3%しか差がない?
SPF20と50だと紫外線の遮断率は95%と98%です。数字だけ見ると、大きくは違わないように見えますよね。
しかしこれは、数字の見せ方のマジックとも言えます。
| SPF | UVB遮断率 | 透過率(肌に届くUVB) |
|---|---|---|
| 20 | 約95% | 約5% |
| 50 | 約98% | 約2% |
遮断率ではなく透過率、つまり「肌に実際に届いてしまうUVBの量」で見てみると、5%→2%と60%近く減っているのです。
もう少し具体的に説明すると——紫外線を10分浴びたときに100ダメージを受けるとしましょう。SPF50を塗れば、同じ10分で受けるダメージはその2%、つまり2だけです。でもそれを繰り返すことで蓄積し、100ダメージを超えたときに肌が炎症を起こします。つまりSPFは「ダメージをゼロにする」のではなく、「蓄積するスピードを遅らせる」ものです。
こう考えると、SPFは高い方が有利ではあります。ただし、高いほどテクスチャが重くなったり、目にしみたり、肌への刺激リスクが増えることもあります。
だから答えは「使い分け」です。
✅ デイリー(通勤・室内中心・汗をかかない)→ SPF20〜30でOK
✅ レジャー・スポーツ・屋外長時間 → SPF50以上+耐水性+塗り直し
汗や水で落ちやすいレジャーシーンでは、なるべく高いSPFで備えておくのがちょうど良い選択です。SPF50+はオーバースペックではなく、そういうシーンのための数字です。
数字に惑わされず、シーンと使い方で選んでいきましょう。
参考文献
- 環境省「紫外線環境保健マニュアル2020」(2020年3月改訂)https://www.env.go.jp/content/900410650.pdf
- U.S. Food and Drug Administration "Tips to Stay Safe in the Sun: From Sunscreen to Sunglasses" https://www.fda.gov/consumers/consumer-updates/tips-stay-safe-sun-sunscreen-sunglasses
- European Commission "Sunscreen products: What matters?" MEMO/06/185 (2006) https://ec.europa.eu/commission/presscorner/api/files/document/print/en/memo_06_185/MEMO_06_185_EN.pdf
- World Health Organization "Radiation: Protecting against skin cancer" https://www.who.int/news-room/questions-and-answers/item/radiation-protecting-against-skin-cancer
- World Health Organization "Sun Protection and Schools: How to Make a Difference" https://iris.who.int/bitstream/handle/10665/42678/9241590629_v1.pdf
- Cancer Council Australia "All about sunscreen: 101 basics" https://www.cancer.org.au/cancer-information/causes-and-prevention/sun-safety/sunscreen/basics


